カテゴリー別アーカイブ: たこぱんだより

たこぱんだより vol.9

北京雑感2014夏

自転車シェアリング 
 世界各地でみられる自転車シェアリングがここ北京でも導入されている。ボディーは紅白の慶弔ツートンカラー。かなり目立つ。レンタル料は1時間1元。待機自転車が少ないところをみると、利用者はそれなりにいるということか…盗難か…と思っていたら、天橋
南大街でこの自転車に乗っている人を見かけた。見かけたのはこの一度きりだったが。
 かつて中国はどこへいっても自転車で溢れていたが、今は自動車が溢れ、駐車スペースが追いつかないため歩道や側道に車を停めている。シートまでかけている。もはや駐車場と化している。そんな北京市では2015年までにこの自転車を50,000台導入する計画らし
い。都市中心部の「完全渋滞」を避けて利用する人たちもいるのだろうと思われる。

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渋滞
 高速道路が出来て万里の長城へ行くにも便利になったものだと思っていたが、渋滞のため、一番近い居庸関へ行くにも、3時間はかかる。渋滞さえなければ30分で行けるというのに。情報通に言わせれば、朝日が昇る前に出発しないと渋滞に巻き込まれるのだとか。
夜明け前から支度するのかと思うだけで疲れる。そういえば、観光地でガッツリ寝ている観光客をよく見かける。“游玩儿”には昼寝も必要なのかも。

“南锣鼓巷”
 昔ながらの胡同の風情の中に現代的でおしゃれなショップがひしめき、中国全土から観光客が押し寄せ大変な賑わいを見せている。さすがは北京でも評判の“南锣鼓巷”。お土産ものもそれなりのお値段になる。“批发店”なら1斤150元の“铁观音”が、ここなら1克50元!観光地ですから。

 於鼓楼東大街70号café alba

これは美味しい!とろっふわっの杏仁豆腐

これは美味しい!とろっふわっの杏仁豆腐

スターバックスもこんな感じ。

スターバックスもこんな感じ。

今も昔も ヨーグルトはやっぱり瓶詰でしょ。

今も昔も
ヨーグルトはやっぱり瓶詰でしょ。

どんどん便利に
“学生一卡”
 学生は大学内では“学生一卡”を利用すれば学内のあらゆる用事をすませることができる。図書館入館、貸出、PCのレンタル等の他、クレジットカード機能もあるので、買い物もできる。失くすとコワイ。学生寮のエレベーターも“刷卡”しないと動かない。

“地铁”
 ガイドブックや地図の記載が追い付かない程のスピードで、地下鉄の路線は増え、延長されている。日本ではまだ限られた路線でしかみられない車窓広告(トンネル広告)も北京の地下鉄では頻繁にみられる。電子公告も結構面白い。インターネットの動画投稿サイ
トのように面白いので、ついつい見入ってしまい、乗り過ごしそうになる。
 不法コピーの遊園地にも北京動物園にも、頤和園、円明園、天壇公園などの世界遺産各所へも地下鉄で行ける。かつて、北京大学は街から離れたところにあると思っていたが、今や西単まで地下鉄1本でピュっと行ける。便利になったものだ。

“一卡通”
 バスと地下鉄共通のICカードを利用すれば、いちいち切符を買う必要はなく、小銭を準備する必要もない。センサーにかざすだけでOK。デポジット20元+必要な金額をチャージすればOK。昔バスの車掌さんは“没有票的,请买票!”と高速連呼していたが、今は“刷卡!刷卡!!”と連呼している。

このカードは公衆電話でも使える

このカードは公衆電話でも使える。

やっぱり安い~!
1元 肉まん1個。 種類はすこぶる豊富。そして美味しい。
2元 地下鉄全区間。
7元 スイカスムージー、マンゴースムージー。  
13元 タクシー初乗り。
126元 北京ダックセット(4人前)
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(小西天今典花園北門 玉林烤鴨店)

安全検査
 テロ対策ということで、北京ではあちこちで公安が目を光らせている。地下鉄に乗るにはX線手荷物検査を通過せねばならない。ボディーチェックがある場合も。天安門東駅で降りて天安門広場へ行くまでに更なる安全検査があり、ここでは30分以上並ばなければ通過できなかった。さらに天安門に登るためには、手荷物を預ける列に並び、また安全検査の列に並ばなければならならい。ここまでで3回。くじけそうになる。

これにはちょっと驚いたっ
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  • ドアを開けた時、後ろに来る人を気遣い、ドアを開けたまま待つ。
  • 急にドアを開けたせいで誰かがドアにぶつかりそうになった時“对不起”と言う。
  • 混み合った車内で人とぶつかった時“不好意思”と言う。
  • 利己的自己主張できる人たちがさらりと“excuse me”を言うようになってきた。

でも、やっぱり
 道を尋ねて、自分が知らない時は「わからない」と言ってくれたらいいのに。教えられた場所へ行ってみると…。
 ネイルのデザインが写真と全然違う出来上がりになった時、“差不多”と言われた。哈哈哈……(Xiao)

たこぱんだより vol.8

【今回は、教育ボランティア活動に参加された中野先生から、活動報告書の投稿をいただきました。】

中国東北(旧満州) 教育交流の1週間
2013年 糖葫芦の会 第7次キャラバン隊に参加して
中野貞弘(兵庫県立尼崎小田高等学校)

 昨年に続き、中国吉林省の農村の2つの小学校を訪れ、英語の授業やカレーライス給食などで交流した。学校規模は50名:学年10名程の大きさである。
 1校で40分授業を2時間連続で、計6時間、音楽と図工の授業通訳で4時間、カレーライス作りで2時間、放課後に5・6年生とスポーツ(ドッチボール)やゲーム(ナンバーコール、フルーツバスケット)。
今年は5日間で合計24コマの多忙な日程だった。
 子どもたちと生き生きと学び、楽しんだ。休憩時間にはプレゼントした長縄跳び、バレーボール、サッカーボールで遊んだ。昨年の学校には全くなかったバスケットのリングが校庭に(牛心小)、昨年新築された長嶺小学には卓球台、理科実験室、コンピュータールームもあった。「農村部や僻地への教育支援が国の予算からも徐々に行われている」との副校長の発言もあった。

【キャラバン隊の活動場所・期間と日程】     
8月25日(日) 関西空港⇒(北京)⇒長春へ
8月26日(月) 長春⇒(天北鎮の中心学校)⇒牛心小学28日午後⇒長嶺小学30日まで
吉林省 蛟河市 天北鎮 牛心村 牛心小学 8月26日~28日
 吉林省 蛟河市 天北鎮 長嶺村 長嶺小学 8月28日~30日

時限

8/25(日)

26(月)

27(火)

28(水)

29(木)

30(金)

31(土)

1・2

CA162 
関空9:30⇒
北京11:50

牛心小へ

3/4年:カルタ作
5年:図工
6年:英語

3/4年:体育
5年:音楽
6年:カルタ作

3/4年:カルタ作
5年:図工
6年:英語

3/4年:体育
5年:音楽
6年:カルタ作

長春発 

3・4

CA1629
北京15:25
長春17:20

 

全員:
カレーライス作り

3/4年:図工
5年:カルタ作
6年:体育

全員:
カレーライス作り

3/4年:図工
5年:カルタ作
6年:体育

CA1656
長春11:40
北京13:30

 

 

 

カレー給食

長嶺小へ

カレー給食

 

 

5・6

龍嘉空港着
飛行機延着

3/4年:音楽
5年:英語
6年:図工

3/4年:英語
5年:体育
6年:音楽

3/4年:音楽
5年:英語
6年:図工

3/4年:英語
5年:体育
6年:音楽

長春へ

CA161
北京16:25
関空20:30

【英語の授業】
 昨年、小学生への生涯初めての授業を中国の小学校で行った。3年から週2時間、5年からは週3時間実施と聞き、立派な国定教科書を目にしたので随分欲張り、盛り沢山で消化しきれない授業をした反省から、簡単な自己紹介を、原稿を見ずに発表できることを最終目標に実施した。
(a)数詞と序数詞の区別、(b)12ケ月の言い方を学び(復習し)、下記①~⑤を英語と中国語でまとめた書き込み式カードを配布し授業を進めた。
① Hello, my name is ~ ~. ② I’m ~ years old. ③ I’m in the ~th grade. ④ My birthday is ~ ~. ⑤ I like to ~.文型
 3,4年合同クラスは、(a)ひと月の日にちを言えること、(b)は用意したフラッシュカードを使い、ゲーム形式で覚えることだけでも60分以上要した。①~⑤の文型中の単語もほとんどが新出語であるのでなかなかハードな授業になってしまった。楽しく達成感のある授業には出来なかった。来年への課題である。
 5年生は、④までをカードを見て言えるまで進めた。当然、級友の発表を聞いて誕生日を聞き分けることもできた時は拍手が起きた。6年生は、⑤までを原稿を見ずに完璧に言えることを期待したが、1、2回助け船を出せば、きれいな発音で出来る子は複数名いたので、正規の授業へつながる内容になったかと思う。ちなみに(b)12ケ月の言い方は5年生の前期にある新出語である。中心小学校の英語主任の先生から、今年から改訂された新しい教科書をいただいた。都会の重点校では、しっかりと教え込まれていくのだろう。

【今年、気づいたこと】
 授業の最初に中国語で尋ねたら誕生日を農暦(旧暦)、年齢は数え年で答える子どもが何人もいたこと。しかし、子どものころ祖父母や大人たちが数え年で言うのは当たり前で、戦前の農村なら日本でも旧暦中心の生活だったこと、そして現代中国の休日が春節をはじめほとんど農暦によることを思えばそれほど不思議でもないかと思い直した。都市部ではどうだろう。
 どのクラスでも英語力の差がかなりあり、最終的には自分の誕生日だけを言えればよいことにしたが、驚いたことに、自分の誕生日を知らない子どもがいたことだ。そんな子には好きな日を誕生日にして答えさせた。また発音上で面白い発見をした。日本の多くの生徒と同様、語尾の子音にはっきりとした母音がくっつくことだ。中国語(普通話)が開音節語と関係があるのだろうか。

【英語の歌】
 今年は「Happy birthday to you」「幸せなら手をたたこう」「旅愁」の3曲。いずれもよく知られているメロディーである。「旅愁」は日本に留学した李叔同が、日本語の歌詞をもとに中国語に訳詩し、内容が中国人にぴったり合うのか誰もが中国の歌:《送别》だと信じている曲である。アメリカ人オードウェイの曲であることを知らせることも昨年からの些細な楽しみである。

【その他】
 先生方との交流や地元の人々の夕べの楽しみ:“扭秧歌儿”(盆踊り)、“健美操”(エアロビクス)へも参加し、“旅店”(簡易ホテル)での寝 泊まりも新鮮だった。また長春市内では長春工業大学を訪ねたり、日本語学科の学生とも交流する機会も得られた。

「人間生きていくときにね、俺の政府と、お前の政府との仲が冷え込んでいるからって俺には何の関係もないよ。不便になるかもしれないけど、全然関係ない」
「僕はまったく心配していない。中国にいる僕の仲間だって心配していないと思う。どこに行ったって関係ないよ、それは」。 (小澤征爾 朝日新聞2013.9.19朝刊より)
中国瀋陽生まれの世界的指揮者から、日中で草の根交流を続ける人々への心強いメッセージである。

糖葫芦(タンフールー)の会:教育ボランティア団体。施設・設備が不十分な中国の小学校を訪問し、①参加隊員の授業実施(通訳付き)、カレーライス給食*、②子どもへ書籍・学用品プレゼント、③1校に5千元相当の援助等を通じ日中教育交流を実施している。会員の会費・寄付により運営され、現地で中国人の協力も得ている。2007年から主に長春郊外の農村を訪問し、今年で7年目を迎えた。1989年に始まった《希望工程》と直接的な関わりはないが、不十分な教育環境で学ぶ子どもたちを支援しようとの趣旨は同じである。(*ハウス食品㈱の協賛)